1年生の漢点字80文字を8日間でマスター!

目次

はじめに

これは、漢点字の入門の入門です。

小学1年生で習う漢字の漢点字80文字を、10文字くらいずつに分けて、全8回に分けて解説しています。

漢点字は通常の点字6点の上に、漢字符号として2点を追加して表しますが、便宜上、この解説では6の点とマスあけで囲んで表しています。

例えば、かな点字の「め」に漢字符号を付けると、「目玉の目」という漢点字になりますが、次のように表しています。

(1) 漢数字(12文字)

漢点字には、1マス、2マス、3マスのものがあります。

漢数字の一から九は2マスの漢点字で、十は1マスの漢点字です。次のように表します。

かな点字の数字の数符、⠼(3 4 5 6の点)の代わりに、⠰(5 6の点)に「あ・い・う・る・ら・え・れ・り・お」で一から九の漢数字を表します。

漢数字の十は、⠰(5 6の点)を付けずに「ろ」だけで表します。

【例文】

漢数字の百と千は次のように表します。

「⠰(5 6の点)」に「⠻ せ」で千。

「⠰(5 6の点)」に「⠿ め」で百。

「⠼⠁⠚⠚(数符 あろろ)」の「⠚ ろ」と、「⠚ ろ」をひっくりかえした「⠴ ん」を重ねると「⠿ め」になるので、「め」が百と覚えられます。

また、墨字の「百」は「目玉の目」に似た形で、中央に横線が2本ある形が「目玉の目」という漢字で、「百」は中央に横線が1本です。

【例文】

(2) 男子・女子(10文字)

墨字の「男」は、「田んぼの田」に「力」と書きます。

漢点字では、「田んぼの田」「力」「男」を次のように表します。

漢点字には「田んぼの田」が「⠕ た」のように読みの一部を使ったものと、「力」を表す「⠍ ぬ」のように読みと異なる文字になっているものがあります。

読みと同じ漢字には、次のような漢点字があります。

【例文】

読みとは異なる文字になっている漢点字

「⠭ 女」は「ふ」とは読みませんが、婦人の「⠭ ふ」と覚えられます。

「お」は「おおがい」という部首(「頁 ページ」と読む漢字)を表しており、「女」は「お」ではなく、「⠭ ふ」に割り当てられています。

同様に「⠃ い」は「糸」の漢字を表しており、「石」を「い」ではなく、「ま」で表しています。

「⠩ く」は「草」という漢点字で使われているため、「車」は「⠽ む」で表されています。

「⠽ む」に1の点を付けると「虫」という漢字を表します。虫の足をタイヤに変えたイメージで「車」を覚えられます。

【例文】

(3) 曜日・時間(10文字)

曜日を表す漢字です。

これらは読みの一部を使ったものです。

次に、読みとは異なる記号になっている漢点字です。

「⠧ ひ」や「⠇ に」は別の漢点字に割り当てられているため、「⠧ ひ」の1の点を取った形「⠦ 2 3 6の点」が「⠦ お日さまの日」です。

月は夜を照らす「ライト」なので、「⠑ ら」は」月」と覚えられます。

「⠼ (3 4 5 6の点)」は「⠧ ひ」を左右ひっくり返した形なので、「⠼ 3 4 5 6の点、数符」で「火花の火」です。

点字の「⠇ に」の三つ点が縦に並んだ形が、墨字の水を表す部首サンズイに似ているので「⠇ 水」という漢字を表します。

【例文】

次の漢字は「⠦ お日さまの日」や「⠝ 土」と別の記号を組み合わせた漢字です。

どれも時間に関係しています。

墨字の「早い」は「⠦ お日さまの日」に「⠚ 十」と書くので「⠦⠚」で表します。

墨字の「後先の先」は「土」に似た形に2本足がついた形です。点字では足を横の2点で表して「⠝⠤」で表しています。

墨字の「年」という漢字には「お日さまの日」という部首がついているわけではありません。

漢点字には元の墨字には対応せず、漢点字独自の部首の役割をするものがあります。「⠦ 2 3 6の点」は漢点字の中で時間に関係する漢字に付きます。

「⠦⠡ 年」の「⠡ か」の部分は墨字の「かん」と読む部首に似た形があるので「⠡ か」になっています。

【例文】

(4) 体(10文字)

体に関する漢点字です。

「⠿ め」「⠟ て」「⠷ み」は読みからできています。

「⠛ れ」は四つの点が四角形に並んだ形が墨字の「口」に似ています。

「⠿ め」や「⠛ れ」など1マスの漢点字や、2マスの漢点字の1マスを組み合わせて別の漢字を表します。

墨字の「見る」という漢字は、「目」の下に2本足が付いた形です。

漢点字では横の2点「⠒ ー」でこの2本足を表して、その組み合わせ「⠿⠒ めー」で「見る」を表しています。

「夕」は墨字ではカタカナの「タ」の形ですが、漢点字では「タ」は「田んぼの田」なので、「⠮⠁ ほあ」で「夕」を表しています。

墨字でカタカナの「タ」と「口」を組み合わせると「名前の名」という漢字になります。漢点字では「⠮⠁ ほあ」の「⠮ ほ」と「⠛ 口」を組み合わせると「⠮⠛ 名前の名」という漢字になります。

ちなみに墨字の「多い少ないの多い」という漢字はカタカナの「タ」を2つ並べて書くので、漢点字では「⠮⠮ ほほ」で表します。

【例文】

さらに体の部位を表す組み合わせの漢点字です。

「⠷ み」は「耳」という漢字ですが、体に関係する漢字を作るのに使われています。

「⠷⠂ みっ」で足を表します。

「⠷ み」は墨字の漢字「耳」の部首または「足」の部首を表し、組み合わせて別の漢字を作ります。

「⠵ ま」は「石」という漢字でしたが、「⠵⠁ まあ」で「立つ」という漢字を表します。

墨字で「立」と「⠦ 日」を組み合わせて「音」という漢字になるので、「⠵⠦ ま(2 3 6の点)」で「音」を表します。

【例文】

(5) 木へん・「色へん」(10文字)

漢点字の「⠣ き」は「木曜日の木」ですが、「⠣ き」で墨字の木へんという部首を表します。

木へんが付く漢字には次のようなものがあります。

「⠅ な」は「人」という漢字と「人」を表す部首であるニンベンを表します。

木のそばで人が休むという意味で、墨字の「休む」はニンベンに「木」と書きます。

漢点字では「⠅⠣ なき」で表します。

他の木偏の漢点字には次のようなものがあります。

「⠣ き」が2つで「⠣⠣ 林」です。

「木」が3つの「森」は「⠣⠼⠉ き3」の数符⠼をとった「⠣⠉ きう」で表します。

「木の根元」、木の下の方という意味で、「⠣ き」に下の方の点(6の点)をつけて「⠣⠠ 本」を表しています。

「日本」は「日の本(日が昇るところ)」です。

墨字の「学校の校」は、「父親の父」に似た字(交わるという字)を書くので、「⠣⠗ きち」です。

墨字の「村」は木へんに「1寸2寸の寸」と書きます。

「⠣⠳ きし」の「⠳ し」は、漢点字の「寸」を表わしています。

【例文】

漢点字には墨字に対応する部首だけでなく、漢点字独自の部首のようなものがあります。

例えば「⠳ し」は「色素」の「し」で、色を表す漢字に『色へん』のような形で付きます。

『色へん』の「⠳ し」に「青春」の「せ」で「⠳⠻ 青」になります。

『色へん』の「し」に「⠁ あ」は「色」という漢字を表すため、「赤」の「か」をとって、「⠳⠡ しか」で「赤」です。

墨字の「白」は「⠦ 日」に似た形なので、「⠦⠁」で「白」です。

「白」には『色へん』は付きません。

(6) 上中下(10文字)

読みではなく、点の位置からできている漢点字があります。

4 5の点に続く2点の位置が「上・中・下・右・左」を表しています。

【例文】

- ⠠⠘⠰ ⠠⠟ ⠠⠘⠆ ⠠⠟  (右手左手) - ⠠⠘⠉ ⠠⠟ ⠠⠘⠤ ⠠⠟  (上手下手、じょうず・へた・かみて・しもて、うわて・したて)

4 5の点1マスは「比較の比、比べる」という漢点字で、墨字ではカタカナの「ヒ」に似た形を二つ並べた字です。

4 5の点が付く漢点字は、何かを比較している、またはペアやグループになっている漢字を表します。

「⠫ け」1マスは「犬」という漢字で、墨字の「大きい」と「犬」は似た形、頭と両手両足を延ばしたような形です。なので、4 5の点に「け」で「大きい」です。

「小さい」は「⠈⠺⠒ しょー」と読むので、4 5の点に「⠺ そ」になっています。

【例文】

次も同じく4 5の点が付く漢字です。

墨字の「入」は「人」に似た形で、2本足で歩いているような形です。

漢点字で「人」は「⠅ な」ですが、「入」は4 5の点が付く「⠘⠅」です。

4 5の点「⠘」は、「大、小」や「入、出」など、ペアの言葉に付いています。

「出」は4 5の点に「へ」の「⠘⠯」です。「外へ出る」の「へ」と覚えられます。

また墨字の「出」は、点字の「⠯」を横にした形(四角の上の辺がない形)を二つ縦に並べた形の真ん中に縦線を引いた形になっています。

【例文】

(7) 自然(9文字)

自然に関係する漢字です。

「⠩ く」は「草」という漢字や、草冠という部首を表します。

墨字の「花」は草冠の下に、カタカナの「ヒ」に似た形があります。

漢点字では4 5の点「⠘」は「比」で、墨字のカタカナの「ヒ」が二つです。

草冠「⠩ く」と、カタカナの「ヒ」を表す4 5の点「⠘」、「⠩⠘」で「花」を表しています。

【例文】

次の漢点字は読みからできている漢点字です。

 - ⠠⠌⠁ (山、富士山の山) - ⠠⠡⠁ (小川の川。河川の川) - ⠠⠽⠁ (虫眼鏡の虫、昆虫の虫)

「⠌ や」「⠡ か」「⠽ む」に1の点を付けて「山」「川」「虫」を表します。

【例文】

次は天候に関する漢点字です。

墨字の「天」は、「大」や「犬」に似た形で、中心から放射状に線が伸びた形す。

漢点字で4 5の点「⠘」に「⠫ け」、「⠘⠫」は「大」です。

1の点に「け」を付けて「⠁⠫ あけ」で「天」を表します。

漢点字で「⠾ も」は墨字の「包みがまえ」とそれに似た部首を表し、何かを包みこむ意味を表す漢字に使われます。

「⠾ も」に1の点、「⠾⠁ もあ」で「気」です。

「空気」は地球を包みこんでいます。

漢点字の「⠉⠣ うき」の「⠉ う」は「ウかんむり」を表しています。 「⠣ き」の部分は、墨字の「空」の部首には対応していません。他の漢点字との関係で「⠣ き」になっています。

空高くそびえる「スカイツリー」を連想し、「き」と覚えられます。

漢点字で「⠗ ち」は「竹」ですが、「⠗ ち」は「竹」だけでなく、「雨」と「雨かんむり」という部首も表します。

「⠗ ち」に1の点、「⠗⠁ ちあ」で「雨」です。

【例文】

(8) 文字・町(9文字)

読みそのままの2マスの漢点字。

【例文】

次の漢点字は墨字に対応する部首の組み合わせでできているものです。

墨字の「町」は「田」の横に「丁」(カタカナの「テ」に似た形)を書くので、「⠕⠟ たて」で表します。

墨字の「字」は、「ウかんむり」の下に「子」と書くので、「⠉⠪ うこ」で表します。

【例文】

次は「ウかんむり」に似た部首の漢字で、1 4の点「⠉」を下げた3 6の点「⠤」とそれが付く漢点字です。

3 6の点は、「ウかんむり」や、それに似た部首を表します。

墨字の「学」には、「ウかんむり」に似た「ツワかんむり」があり、3 6の点「⠤」1マスで表シマス。

墨字の「文」には「ナベブタ」のような部首があり、これも「ウカンムリ」に似ており、3 6の点に3の点「⠤⠄」で表します。

【例文】

次も墨字の部首に対応する組み合せで使う漢点字です。

墨字の「玉」と「王」は似た形で、漢点字では「玉」を「⠯ へ」、「王」を「⠯⠁ へあ」で表します。

【例文】

次の漢点字は、墨字に対応する部首と漢点字独自のものとの組み合わせの漢点字です。

墨字の「正しい」には「止」の形が含まれています。

漢点字で「止」は「⠴ ん」で表します。 これに、「正」は「せい」と読むので、その「⠃ い」を組み合わせて、「⠴⠃ んい」で「正」を表します。

【例文】

(おわり)